※BC(バックカントリー)で遊ぶには十分な装備、知識、経験が必要です。安全に注意し、レベルに合ったフィールドで楽しみましょう。
GW3 北アルプス
2006年5月2日

dsc00284.jpg   黒部五郎岳から真っ白な黒部源流を覗く

 

GWはロングツアー!豪雪のため当初予定を変更し昨年オートルートで行った際によさそうであった黒部源流へ。天気にも恵まれGWにも関わらず真っ白な雪景色をゆったりと堪能してきた。
(レポート:橋本、写真:宮崎、橋本)

今回のロングツアーは、下記の高機能レイヤリング
着乾しができるので軽量化のため着替なし、暑いことが予想されるためスキンメッシュを選択。
img_0386.jpg 槍ヶ岳をバックに滑走 フラッドラッシュスキンメッシュT
フラッドラッシュスキンメッシュボクサーショーツ(タイツ)

ドラウトセンサージップネックジャケット、タイツ
ブリーズラップジャケット
3レイヤースキーパンツ

雨・寒い場合に +雨具上
行動終了後・晩 +ダウンジャケット上下

上記に就寝時夏用ダウンシュラフ&カバー、テントの代わりにツエルトIIで更に軽量化。
もちろん、レスキュー用にゴージュバッグも携帯。
5/2 天気の回復を待ち霧雨の中出発。避難小屋は雲海の上
和佐府橋 12:30 - 14:30 飛越トンネル 15:00 - 18:45 北ノ俣避難小屋

5/3 快晴 GW始めの新雪で真っ白な黒部源流
避難小屋 7:10 - 9:40 北ノ俣岳 10:35 - 12:35 黒部五郎岳北側肩2750m 13:15 - 13:40 黒部五郎冬季小屋

5/4 快晴 黒部五郎岳からウマ沢への滑走は最高!
五郎小屋 8:00 - 10:00 黒部五郎岳 11:10 - 11:35 ウマ沢右岸2213m 12:10 - 黒部川源流1990m 12:30 - 13:40 五郎沢出合 13:55 - 14:50 五郎小屋

5/5 晴れ時々曇 多数のスノーブリッジで快適な黒部源流
五郎小屋 6:50 - 7:05 五郎沢出合 7:15 - 9:25 三俣山荘 10:00 - 弥助沢 - 11:00 モミ沢出合2040m 11:25 - 13:15 双六小屋

5/6 晴れ時々曇 双六岳からの豪快な滑走。小池新道はデブリで大荒れ。
双六小屋 7:25 - 8:25 双六岳 8:55 - 9:15 双六谷2330m 9:30 - 11:10 弓折岳 11:50 - 14:30 新穂高温泉
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<1日目 5/2>

新穂高温泉に下山後用に車をデポ。
同時に登山届けを出す。
昨晩からの大雨もあり、電光掲示板には「雪崩警戒」の文字が浮かぶ。

ピンポイント天気では雨は昼頃上がるとの予報。
昼前に車で和佐府橋まで移動し、弱い霧雨になるまで待ち、板を担いで出発。

林道を1/3程歩くと雪が繋がりだす。
ここからシール歩行に切替、黙々と歩く。
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dsc00117.jpg   雪の中に埋もれる飛越トンネル

 
例年、飛越トンネルまで除雪が入るのだが今年は豪雪で既に予算を使い切ったらしく、和佐府橋からトンネルまで7kmの林道も歩かねばならない。

トンネルに着いてもガスは晴れる気配がない。
ここで下山してきた山スキーヤーから、豪雪で利用できないと思っていた北ノ俣避難小屋が雪から出ており使えるとの嬉しい情報。既に何パーティーかすれ違ったとのこと。

既に3時半。ビバーグ作業を考えると、暗くなっても懐電&GPSで避難小屋まで行った方が得策と考え避難小屋をハイペースで目指す。6日分の食料が重い。
寺地山に近づいて来るとガスが晴れ、雲海の上に。
登り返しのある尾根道が続き時間がかかる。

北ノ俣避難小屋には6時45分着。
なんとか暗くなる前に着いた。
夕日が綺麗だ。明日は快晴になるだろう。

具沢山スープに焼豚も交え豪華な夕食。
途中抜いた山スキーヤー3名は1時間後の真っ暗な中の到着である。お疲れ様。
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<2日目 5/3>

気持ちの良い快晴だ。
避難小屋は半分以上埋っている。

今日は黒部五郎小屋まで。
北ノ俣岳と黒部五郎岳の急峻な登りが待っている。
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避難小屋から北ノ俣岳に続く豪快な急斜面。
下りは良いか、登りは堪える。

雲海に浮かぶ山々をバックに真っ白な斜面をひたすら登っていく。

ハイマツ帯ではつがいの雷鳥やイワヒバリが出迎えてくれる。
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北側を望むと弥陀ヶ原からと大日岳が雲海の上に浮かぶ。

手前には、太郎小屋からの真っ白い斜面も広がる。

振り返ると、雲海の手前に、昨日登ってきた寺地山の尾根や有峰湖の素敵な景色が広がる。
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寺地山から飛越トンネルに続く尾根
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dsc00171.jpg   有峰湖
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北ノ俣岳山頂。
太郎小屋から何パーティーかきており少し賑やか。
室堂からのオートルートを縦走中のパーティーもいる。

ここにくると昨年の天気に翻弄されたオートルートを思い出す。懐かしい。

景色はGW前半に降雪もあり、真っ白な冬の景色に近い。
気持ちいいが、春のツアーでは妙な違和感を感じる。
dsc00179.jpg   豪快な薬師岳 dsc00181.jpg   黒部源流 右奥には槍ヶ岳も
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荷物を背負って、さあ出発。
2日目なのでまだ重い。
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黒部五郎岳から笠ヶ岳の壮大なパノラマが広がる中、
中俣乗越まで滑走&トラバースだ。

中俣乗越からは高度を上げながら2578mピークを避けるようにトラバース。
オートルート縦走中のパーティーも同じ行程だ。
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dsc00208.jpg北側肩を目指して

 
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黒部五郎の急峻な登りは、北側肩のコル2750mを目指して斜めにトラバースする最短コースを選ぶ。

振り返ると滑走・トラバースしてきた北ノ俣岳へ真っ白な斜面が広がる。この景色は2005-06FWカタログの表紙写真と同じ構図。昨年より真っ白。
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肩より黒部五郎岳。
例年より雪庇が発達している。
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肩より豪快な黒部五郎カールに向かってダイブ。

天気も良くお昼で気温も上がり雪が相当緩んでいる。
急斜面はスラフが発生する。
表面のザッザーと流れていく雪に足を取られないよう注意しながら滑走。
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カール中央まで滑り、トラバースして小屋の西側へ。

かなり埋った黒部五郎小屋が見える。
右は殆ど埋っている営業小屋。左は冬季小屋。

小屋に向けて一枚バーンのいい斜面を滑走。
気持ちいい。
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冬季小屋は2階の入口から出入り。
1階は雪の下だ。
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ゆっくり昼寝&日向ぼっこをしてから、
雪でダイニングを作り晩飯。

本当に気持ちのいい場所だ。

雲ひとつない空に太陽が沈み素敵な夕焼けとなった。
これだからツアーは止められない。
img_0167.jpg   黒部五郎岳に沈む太陽

 
img_0170.jpg   薬師岳の夕焼け

 
<3日目 5/4>

今日は日帰りで黒部五郎岳からウマ沢への豪快な斜面を滑る予定だ。
荷物も軽く体も軽い。天気も文句なしの快晴。

薬師岳をバックに黒部五郎岳へ続く尾根を登る。
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dsc00269.jpg   黒部五郎岳に続く尾根

 
img_0178.jpg   双六岳をバックにシール登行

 
雷鳥も沢山 img_0181.jpg
 
img_0183.jpg   笠ヶ岳をバックに更に登る

 
img_0189.jpg   最後の急な登り

 
黒部五郎岳山頂。

後ろは槍ヶ岳の稜線。
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さて、本日の本番。
黒部五郎岳からウマ沢への豪快な斜面を滑走。

他に滑走者はおらず
斜面には我々2本のシュプールのみ。

最高に気持ちいい。
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ウマ沢右岸2213m地点で休憩。

すると2パーティーが下りてくる。
太郎平から来たのだろう。
ウマ沢から黒部川源流を下るルートに下りて行った。
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あまりにも
気持ちいいので
少しお昼寝

 

 

 
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少しゆっくりしたら、源流に向けて更に滑走。
黒部川源流まで降りたら、シールを付け歩き出す。
源流はかなり残雪が多く
スノーブリッジも多数かかっている。

それにしても綺麗な水だ。
なんと気持ちいいところだろう。
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何回かスノーブリッジを渡りながら、
歩き易そうな方の岸で上流に向かって歩いていく。

例年ならここまでスノーブリッジはかかっていないであろう。
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それにしても暑い。
これだけ雪があるのに気温はうなぎ上りだ。

出合で五郎沢に入り小屋に戻るルートを取る。
五郎沢出合は広く真っ白。
スノーブリッジもクラックは入っているが繋がっている。

五郎沢を地道に高度を稼いで小屋に近づく。
後ろは雲の平に続く台地だ。

黒部五郎カールは快晴で表面の雪が融け、
キラキラして眩しい。
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小屋で休んでいると本日も夕焼けが迫ってくる。

黒部市からお越しの山スキーヤー2名の方ともお知り合いに。一緒に記念撮影も。
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img_0250.jpg   夕焼けの笠ヶ岳

 
img_0256.jpg   夕焼けをバックに

 
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<4日目 5/5>

2泊世話になった五郎小屋ともお別れ。

今日は黒部川源流を一番上まで登り、
双六小屋まで移動の予定だ。

天気予報では低気圧の通過で北日本は大荒れで、
この辺りは曇りになるぐらいで天気はもつらしい。
今回は天気についてる。
黒部市からの山スキーヤー2名を見送った後、
追いかけるように五郎沢を滑走。
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dsc00407.jpg 五郎沢の右俣と左俣の間を滑る

 
img_0265.jpg五郎沢出合でシールを付ける

 
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少し上流に歩くとだだっ広い出水平。

雪の台地の上には先行の2名がいて挨拶を交わす。
彼らは祖父岳を滑る予定とのこと。

祖父岳は台地の奥に隠れている。

雪で埋った源流をシール歩行で
地道に高度を上げていく。

森が豊かなのだろう。
沢山の動物の足跡を見かける。
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dsc00434.jpg   複数の動物の足跡

 
dsc00436.jpg   源流2330m付近 雪庇が崩壊した破片が散らばる
正面はこの周辺で一番高い鷲羽岳

 
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自然の過酷さと
歴史を感じる樹木

 

 
dsc00443.jpgトラバース

 
源流2330mからは沢を詰めず、
左岸を斜めにトラバースして三俣山荘までショートカット。

沢芯でのどんよりとした曇りは過ぎて、
晴れてくる。
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三俣山荘で休憩。
後ろは鷲羽岳と奥に水晶岳。

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雄大な景色が広がる中、
適度な斜度の続く弥助沢を滑走する。

左奥は槍ヶ岳、正面奥には樅沢岳。
これから双六小屋に登るモミ沢も見える。

時には荷物を先に斜面の下に転がして
空荷で軽快に滑る。
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鷲羽岳をバックに。

まだ10時過ぎだというのに気温が上がり
雪はぐさぐさになりかけている。
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下まで長い斜面を楽しむ。

弥助下部からは沢芯の雪を抉り取った
大きな雪崩後が続く。

すさまじい破壊力だ。

雪崩後を避けるように右岸をトラバースしてモミ沢出合へ。
出合で休憩し、
沢芯を伝い一気に高度を500m以上上げる。
日差しがきつくとにかく暑い。

適度に休憩をいれながら高度を稼いで双六小屋に着く。
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今回初めての営業小屋である。
誘惑には勝てない。

高い本物のビールで乾杯!
ツエルト泊も考えたが
高いビール11本分の値段をかけて小屋泊。

久々の営業小屋利用。
お湯あり、ストーブあり、布団あり、雨風しのげて快適である。

多くの登山・山スキーヤーの方がいた本日はそれ程多くないとのこと。ゆったりと寝れる。
dsc00502.jpg   海草サラダに具沢山スープにα米にビール!

 
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<5日目 5/6>

最終日である。
天気は今日まで晴れで、明日は雨予報。

皆準備をしてどんどん出発する。
日本オートルート縦走で西鎌尾根に行く方も多数。
無事通過完走を祈ります。

大ノマ乗越から東側は大規模な雪崩で危険で滑り・歩きにくいとのことなので、弓折岳からの尾根を滑走して新穂高温泉にでるルートを選択。
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我々は、まずは双六岳へ。

小屋直下から急登しトラバース。

ほんと雷鳥くんに良く逢います。
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双六岳山頂。
黒部源流から360°のパノラマだ。
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槍ヶ岳から穂高連峰への尾根をバックに
真っ白な双六谷源流へ滑り込む。

適度な斜度が続く広い斜面だ。
気持ちいい。
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双六谷2330mまで気持ちよく下りたら、
今度は対岸の弓折岳に続く尾根に
高度差300mを一気に登り返し。

急登で日差しが強く暑く堪える。
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振り返ると、
さっき滑った素晴らしい双六谷源流が覗く。
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弓折岳から槍ヶ岳を覗く。
東面は岩場で大きなクラックが入っており不安定。
あまり気持ちのよいものではない。
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弓折岳から小池新道を覗く。
大ノマ乗越から向こうは、遠目で見ても雪庇が相当発達している。

 
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さあ、ここから新穂高温泉まで長い大滑走である。
最終日、既に荷物は軽い。

まずは、弓折岳の東尾根からの滑り出し。
いい急斜面だが、お昼を過ぎ雪は緩みまくっている。

出来る限り雪が締まってそうな尾根を選んで滑走。
槍ヶ岳をバックに斜度が気持ちいい。
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dsc00635.jpg 小池新道は大ノマ乗越からも、奥抜戸沢からも大きなデブリで埋っている。

長いデブリの上を滑り蒲田川左俣まで下り林道に合流。
左俣林道1460m橋より小池新道を振り返ると
デブリの谷しか見えない。

ほんとに今年は豪雪で大きな雪崩が頻発したのだろう。

林道の橋より下も、
下抜戸沢からの大きなデブリで登り返し。
あまりにも大きく凸凹で板を履いた
トラバースさえもできない。

板をザックにつけせっせと歩く。
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デブリを越えたら林道をトラバース。

今年は雪が多いので2-3回板を脱いだだけで、
遭難のあった穴毛谷出合まで滑走できた。
冥福を祈る。

穴毛谷からは林道を歩き下山届けも出して
30分程度で新穂高温泉無料Pに着く。

dsc00657.jpg   穴毛谷

 

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林道入口には
雪崩注意の看板

 

 
今シーズン久々に天候に恵まれた
ロングツアーであった。

当初は、薬師岳より豪快な金作谷を下り薬師見平に出る計画であった。
しかし、豪雪で季節が1ヶ月遅く北アルプスはまだザラメ雪ではない。GW初めの針ノ木雪渓の遭難事故も考慮し、比較的安全な黒部源流ツアーに変更した。

今シーズンは豪雪と天気に翻弄されてきた。金作谷はまた次の機会としよう。
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