※BC(バックカントリー)で遊ぶには十分な装備、知識、経験が必要です。安全に注意し、レベルに合ったフィールドで楽しみましょう。
北アルプス・白萩川~チンネ
2015年3月21日

馬場島から白萩川をアプローチ、白萩川上部フランケを登りそのまま翌日に継続登攀で小窓ノ王の西壁の積雪期未登のラインを登る意欲的なプランにトライ。
結果として狙ったラインは登れなかったが、代わりにチンネを登攀。この時期ならではの速攻登山を楽しんだ。
※積雪期(12月1日~5月15日)の剣岳周辺への登山は富山県登山届出条例により登山届けの提出が義務付けられています。
(レポート:相川 写真:相川、和田)
3月の剱岳周辺。
厳冬期よりはアプローチはだいぶ楽だが、残雪期というほどには雪も安定していない。雪の状態は様々に変化し、雪崩れれば破壊的なことにもなりうる。
この時期の雪を冬季でも、残雪期でもない表現として「晩雪期」と称した友人がいたが、なかなか面白い表現かも。
さて、行き帰りのアプローチに使う予定の白萩川だが、雪崩危険地帯で長時間にわたって行動しなくてはならない。雪の安定度自体は、ここ1,2週間ではベストでは、という状態が予想されたが、夜中にスタートし、朝までに危険地帯を通過してしまう作戦で行くことにした。
馬場島の7km手前の除雪終了地点を夜中の0:30にスタートする。
今年は積雪が多く、白萩川はこの時点ではところどころ割れている程度で、通過に問題となる箇所はなかった。数日前の高温と雨で落ちたと思われる真新しいデブリが多く歩きにくいが、ラッセルよりはだいぶ楽だ。
空が白み始めるころ、三俣を過ぎ、西仙人谷に入る。
このあたりまで来れば、側壁からの雪崩のリスクはだいぶ小さい。ようやく一息つける。
白萩川の左岸下部岩壁は、素晴らしいアルパインアイスワールドだ。ここをターゲットにして来ても面白いだろう。もっとも、今年はかなり氷の状態は悪いようだ。
白萩川上部フランケに朝日があたり始める。残念ながら、狙ったラインは氷が張っていなかった。上部フランケ自体は傾斜はそれほどなく、いろいろなラインが登れそうではあるが、明日の天気がイマイチ怪しいため、話し合った末そのまま小窓まで詰め、小窓ノ王一本に絞って土曜日の内に登ってしまう作戦に変更する。
小窓のすぐ手前。両岸ともにスケールの大きな壁が続く。
出発から8時間半かけて、小窓到着。
小窓ノ王と、その左後方にチンネが見える。しかし、小窓ノ王西壁はかなり傾斜のある壁だ。登れる代物なのか?
小窓ノ王へは稜線を辿って行く。近く見えて結構遠いが、
景色が素晴らしく、飽きさせない。
左正面の小窓ノ王に右正面のチンネ。左手に小窓雪渓、右手に池ノ谷と剣尾根が見える。
もっとも、雪面は堅く滑落すれば、小窓雪渓まで一直線。慎重な行動が必要だ。傾斜があるところはダブルアックスで登る。
2時間弱でようやく小窓ノ王西面の前に立つ。
遠目にはルンゼ状に見えたラインが、いざ近くで見てみると、傾斜がありすぎ、プロテクションもまともに取れそうにない。
ここで突っ込む選択肢は取れなかった。アプローチ10時間で敗退決定…。
もっとも、そのまま帰るのはもったいないので、メジャールートではあるが隣のチンネの中央チムニーを登ることにする。小窓ノ王の基部を回り込み、三ノ窓までの急傾斜の雪面を念のため懸垂。
すでに行動開始から12時間半経過。
中央チムニーはチンネではポピュラーなルートの一つだが、3月に登られることはほとんどないだろう。4月になると厚く凍るようだが、この時期は微妙なベルグラ登りで非常に悪い。
3ピッチ目でようやく厚い氷。しばらく氷を登った後、傾斜が緩んだ雪面をロープいっぱいに伸ばして中央のバンドに抜ける。スクリューが3本しかなかったので、ランナウトを強いられるが、クライミング自体は快適。
中央バンドをトラバースし、a-バンドにつなぐ。さすがにかなり疲れてきているので、一つ一つの行動を慎重にこなす。
そのままb-クラックを2ピッチ登ってトップアウト。何とか明るいうちに下降し、最後はヘッデン行動にはなったが夜の早いうちに三ノ窓に戻ることができた。
休憩の後、気温が下がって雪が落ち着いたところを見計らって、再び長い帰途についた。