※BC(バックカントリー)で遊ぶには十分な装備、知識、経験が必要です。安全に注意し、レベルに合ったフィールドで楽しみましょう。
台湾・哈伊拉羅溪遡行Day1-3
2014年11月15日

2014年台湾・哈伊拉羅溪遠征へ

この渓、Jasmineが学生時代にスポット的に周辺の山から下降して調査し、大瀑布や絶景のビバークサイトを発見している。それ以来、15年間この沢にあこがれてきた彼女いわく「Most beautiful river in Taiwan」だとか。ただ「Too difficult for Tiwanese patry」だそうで、自身の手で初遡行に挑めることを非常に喜んでいた。
地形図のディティールがあまり信用できない台湾では、未知の沢に向うに当たって衛星写真の情報が重要となる。
事前の情報収集では、哈伊拉羅渓はほとんどの場所で樹林帯が川の際まで迫っており、「80%がゴルジュ」の可能性!
期待と同時に、はたして抜けることができるのかという畏れも膨らんでいく。
(レポート:相川 写真:相川、大西、Jasmine)
<11月15日>
林道を運んでくれたタクシーに見送られて、12日分の装備を詰め込んだ25kgはあるザックを担いで歩きだす。台湾の廃林道は下手をすると登山道よりはるかに歩きにくかったりするが、郡大林道はかなり快適だ。
哈伊拉羅溪へは、2通りのアプローチが考えられる。一つは、林道45km付近から登山道を通って、哈伊拉羅溪と郡大渓の二股付近に降りる方法。
もう一つは、喀塔朗渓を下降して、郡大渓に降り、郡大渓を遡行して哈伊拉羅溪に降りる方法。前者の方が楽そうであったが、僕らは喀塔朗渓の出合付近にある「無雙温泉」の文字に引かれ後者を選択した。
喀塔朗渓を経て無雙温泉へは、地図上では破線の道(難路)がついているはずだが、道らしきものは出だしのみ。後は、バリエーションルートを相当歩き慣れている僕らでも、かなり「ヤバい」と感じるような下降になる。
結局、喀塔朗渓に降りたところでタイムアップ。この日は曇り予想だったが、1日中冷たい雨。昨年の台湾で10日間雨に降り続けられ「雨男」確定してしまった僕に冷たい視線が注がれる…。
<11月16日>
幸い、翌日には天気は回復。この支流、破線の道ではあるが登山道マークがついているというのに、下るにつれてごついゴルジュが2か所も出てきた。どこかに道があるのかもしれないが、一般登山者が入り込んだら遭難必至。台湾の登山地図はどうなっているのだ?
懸垂下降を交えたキャニオニングで郡大渓に降り立つ。
郡大渓は開けた大きな渓。
このサイズで本格的なゴルジュが出てくるとかなり手ごわいが、ゴルジュ状の部分も下を容易に歩けて簡単に抜けることができた。
残念ながら、「無雙温泉」はさっぱり分からなかった。埋まってしまったのだろうか。
頭上高くを登山道の吊り橋が横切り、間もなく哈伊拉羅渓が左手から合流してくる。もっとも、哈伊拉羅渓が流程は圧倒的に長く、郡大渓の本流と言っていいだろう。
衛星写真での事前予想通り、出合からいきなりのゴルジュ。しかしいざ踏み込んでみると、確かに両岸立っているが内部が河原のように埋まっていて、ほとんど歩いて通過できてしまう。
順調に距離を伸ばし、快適な河原を見つけてビバーク。これは意外と簡単?という雰囲気が流れ始めていた。
しかし、台湾では、予想が易しい方向に外れることなんてほとんどない。
<11月17日>
翌朝、大崩壊の山腹を左手に眺めながら、単調なガレ場歩きに退屈してきた頃、全く予想もしていなかったタイプの核心が現れた。崩壊した大量の土砂が堰き止めた天然のダム湖。100mくらい先で曲がっていてよくわからないが、まあ、何とかなるかなとザックを浮きにして泳ぎ始めた。水の冷たさに、漕いでいた手がだんだん動かなくなりながらなんとか屈曲部を越え…そしてその先も延々と続く湖を見て絶望的な気分になった。
泳ぎの苦手なJasmineはさらにヤバい。なんとか小さなスタンスに3人で這い上がり、先行した大西が連結したフローティングロープで後続を引っ張る作戦に切り替える。へとへとになって上陸した時は、三重の防水壁を破られて荷物はいたるところ浸水し、食料も一部を濡らしてしまうという散々の状態。
なめてかかり始めた矢先の哈伊拉羅渓からの強烈なカウンターだった。
この崩壊部分のガレによって、下流部は埋められていたのだろう。湖を越えると、いよいよ本格的なゴルジュが始まり、哈伊拉羅渓は本当の姿を見せ始めた。
第2ゴルジュは水量も多く、スケールが大きい。
岩壁に囲まれた劇場のような空間に掛かる15m滝。IVくらいのクライミングだが、各々フリーソロで越える。
もっとも、スケールが大きい分弱点も多く、微妙なへつり区間こそあったが、結局ロープを出すことなく抜けることができた。
烏利班霍爾渓との二股の先に、快適な河原があり、本日のビバーク地に。湖の泳ぎですべてのものが濡れていたので、盛大に焚火をたいて大乾かし大会となった。

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遡行図(図をクリックで拡大)
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