※BC(バックカントリー)で遊ぶには十分な装備、知識、経験が必要です。安全に注意し、レベルに合ったフィールドで楽しみましょう。
ネパール中西部 プタヒウンチュリ7,246m その3カコットからベースキャンプ編
2014年8月31日

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ネパール中西部 プタヒウンチュリ7,246m その2日本出発からカコット編

カコット3,246mからベースキャンプ4,925mまで標高差1,679m。今回のために富士山3,776mに9回トレーニングで登ったが、ベースキャンプでのキッチン用具や装備など全ての装備も一緒に登るため、高度障害で途中で引き返すわけには行かず一番不安な部分である。そのため、カコットに滞在して十分に高所順化を行った。(レポート/写真:林)
■8月31日
高所順化1日目。立派なつり橋を対岸に渡ると、きれいなピンク色の花を咲かせた蕎麦畑となっていた。日本では白い花を咲かせるため最初はなんの花なのかわからなかったが、ガイドから聞いて蕎麦であることがわかった。現地では蕎麦がきのようにして食べるようだ。
放牧の踏み後らしき道をゆっくり登っていく。少し頭が痛くなってきたので4,030mまで登って下山する。
■9月1日
朝方まで降っていた雨も上がり、子供たちに見送られて今日も高所順化へ出発する。昨日より高い岩稜帯4,444mまで登り下山した。ここまでくるとカコットが遥か下に見えていた。
■9月2日
ベースキャンプに出発する日である。ところが荷物を運ぶヤクが9時になっても来ていない。ガイドが村に行って確認するが良くわからないらしい。結局、12時になり本日の出発は見送ることにした。この2日間の高所順化で疲れていたのでちょうど良い休養日となった。夕方になりどこからともなくヤクが集まってきたので、確実に明日は出発できそうだ。
■9月3日
朝早くから出発の準備をするが、ヤクドライバー(ヤク使い)が来ない。まだマイナーなエリアだけにほかのエリアとは勝手が違うようだ。我々とコックが先に出発することになった。今日の予定は4,150mのはずがおとといの最高到達点4,444mを越えて岩稜帯を登っていく。
次第に雲行きが悪くなり雨が降り出してきた。ガスが出始め視界は100mほど。予定の4,150mはすでに通り過ぎ、このまま上り続けてよいのか不安になるが、ガイドは後からヤクと登ってくるのでどうしたらいいのかわからない。一緒に登っているコックも不安になり、とりあえず雨の中ガイドが上がってくるのを待つことになった。
ガスの中からヤクのベルの音が聞こえてきた。ガイドによるとさらに登っていくということだ。ガスのためルートが良くわからずに所々足場の悪いところを歩き、4,827mのコルを越え山腹をトラバース気味に歩くとヤクカルカ4,700mに18時に到着した。
■9月4日
夕べは疲労のため日本から持っていったもちを食べてすぐに寝てしまった。ガイドに4,150mのキャンプに行かなかった理由を聞くと、このキャンプ以外に水が取れるところがないため一気にここまで来たということだ。最初に言ってほしかったがガイドもわかっていなかったのだと思う。4,444mまで順化して、1日休養していなかったら来れなかっただろう。
ここからベースキャンプまでは標高差で300m弱。昨日あれほど疲れていたが体調は良い。順調に高度順化が出来ているようだ。雲があるが日差しもあり気持ちが良い。多少のアップダウンがあるがほぼ山腹をトラバースしているだけなのでゆっくり疲れないように歩いていく。
雲の合間からチュレン7,385mの急峻な雪壁が城壁のように立ちはだかっている。若いころなら登攀意欲がかきたてられたであろうが、今となっては眺めるだけで満足だ。
我々の荷物を運んだヤクが戻ってきた。ベースキャンプが近いようだ。ヤクカクカルカを出発して4時間ほどしかたっていないが、5,000m近い標高のため体が重く感じられる。小高い丘を越えると先に行ったコックがすでにテントを張っていた。これからおよそ1ヶ月ここが登山の拠点となるのだ。モンスーン中のためこの時期に入るのは我々だけだ。
ネパールガンジとカコットで1日ずつ停滞したが、カコットからベースキャンプまで4日かけるところ2日で登ってしまったので、結局つじつまが合ってしまった。十分余裕を持って日程を組んでいるが、1日の差で明暗が分かれることがあるので、結果としてはここまで順調にくることが出来たと言えるだろう。ここから先は登山以外の要素を気にせずにすむので、登山そのものに集中することが出来る。先行パーティがいないためルートファインディングも楽しみである。

⇒ネパール中西部 プタヒウンチュリ7246m その4「ベースキャンプからキャンプ3編」へ続く