※BC(バックカントリー)で遊ぶには十分な装備、知識、経験が必要です。安全に注意し、レベルに合ったフィールドで楽しみましょう。
南紀 滝本本谷遡行・滝本北谷キャニオニング
2014年8月23日

滝本本谷、滝本北谷という南紀エリアでも屈指の美しい渓相を持つ2本の谷を、遡行・下降でつないでみた。
世界遺産でもある熊野古道の難所、「大雲取越」の近くに位置し、源平合戦の結果破れた平家の落人が隠れ住んでいた伝説の場所が谷中に存在する。そんな歴史に思いを馳せながら、訪れてみるのも楽しいだろう。
いずれの沢も、難所の巻き道は比較的明瞭で、初級者でも十分に楽しむことが可能。技術次第で、登攀可能な滝も多くレベルに応じた楽しみ方もできる。
(山行日:2014年8月23、24日、写真:相川、岩井、レポート:相川)
金曜日の夜、仕事が終了してから出発、道の駅で車中泊。
予報では土曜日・日曜日とも天気の様子が思わしくなかったが、次の日起きてみると青空も。
このまま晴れることを願って、出発!
最初は観光地としても知られた宝竜ノ滝。約50mの滝が2段に重なる迫力の姿にしばらく見とれ、左岸を巻く。
1段目の巻道は本当は楽な道があったようだが、見つけられず脆い土でズルズルの急登を登る。
2段目のラクな尾根上の巻道を登り終えると、大きな岩がゴロゴロと転がる沢に。巻道の登りで暑くなった身体に冷たい水が気持ちよい。滝の高さを測ってみたが、それぞれきっかり50mあった。2段100mの見事な滝である。
しばらくは平凡な流れだが、地図上の屈曲点の連瀑帯に入る。
釜を持った8m斜瀑は、左側を直登できるがスリップ注意だ。
スケールこそないが、整った美しい滝が続く。この6m滝は「コッペ滝」というらしい。名のある滝が多いのは、古くから人が足を踏み入れていたことを表しているのだろう。
小さな取水堰堤を越えると、平維盛が隠れ住んだという、「藤綱の要害」の古い石垣が。この部分までは登山道が通じており、エスケープに使えそうだ。
その先の5m奥コッペ滝を簡単に登り、小滝をいくつか過ぎると巨岩のゴーロとなる。大きな滝の出てくる前触れであることも多いが…
はたして谷が開け、30m燈明滝が現れた。滝本本谷の盟主ともいうべき、末広がりの見事な滝だ。右岸から巻けるようだが、近づいて観察してみると、右の水線際を登れそうに見える。せっかくなので、トライしてみよう。
登ってみると、階段状の形状ではあるが、一段が大きく、丸い形状をしていて、それほど容易ではなかった。2ピッチロープを伸ばし、最後は激シャワーで落ち口に這い上がる。
すぐ上には、白滝20mが。こちらも登れそうだったが、時間が押してきていたので、右岸から巻く。巻き道は明瞭だった。
5mCS滝、15m滝(ナベラゴノ滝)とこなすと、劇的に渓相が変わり、延々と続くナメとなる。気持ちの良い平地を見つけて、今夜の宿とした。
昼間の天気は良かったが、夜になると一転して豪雨に。焚火も消え、少しくぼんだ所に張っていたツエルトは水浸しに。仕方なく、タープの下でなんとか夜を過ごした。今回、スリーピングバッグがポリゴンシールドだったので、少々雨が掛かっていたが気にせず寝ることができた。
朝には雨もすっかりあがった。再び気持ちの良いナメを遡り、ホタガ谷導水路(滝本北谷から本谷に発電用に水を引いている。)から整備された巡視路を上がる。そのまま尾根を越え、簡単に滝本北谷に導いてくれる。
しばらくナメが続いた後、8m、4m、15m、15m(比丘尼滝)の4連の滝。これから続く懸垂下降の練習にちょうど良い。
しばらく平凡な河原やゴーロをこなし、地図上でグネグネと屈曲した区間に突入だ。しょっぱなのウォータースライダー滝を楽しんだ後、再びナメが始まる。
ナメは、グネグネと曲がりくねりながら延々と続く。こんなに見事に長く続くナメを見たのは初めてだ。
ナメの最後に、素晴らしく整った2連のスラブ滝。
まずは亀壺ノ滝15m。ギリギリウォータースライダーも可能か?
続く屏風滝。まさに名前の通りの美しい姿。
いずれの滝も登るのは難しく、遡行の場合はすべて巻きになるだろう。下降であれば、これらの美しい滝を間近に見ながら、快適に下ることができる。この谷を下降に使ったのは大正解だ。
少し下ると、滝本北谷最大のケヤキ原滝だ。一見して、50mロープの折り返しでは下降不可能。
左岸の樹林を少し上がると、直下にボルトが2本打たれているのが見えた。樹林からボルトまで懸垂。今度はボルト支点で50mロープで懸垂。ロープ長さギリギリで歩いて下れるレッジまで降りることができた。
巨岩のゴーロと小滝をいくつかこなすと、再びナメが始まり2段15mのウォータースライダー滝。途中がひょんぐっていたので、ひよって1段目からのスライダーにしてしまった。それにしても素晴らしい自然の造形
すぐ下に、部屋滝15mだ。この谷には珍しく、暗い廊下状の淵の奥に掛かる滝だ。右岸のテラスから淵に向かって懸垂をしたが、飛び込めたかな~とちょっと心残り。
やや平凡な区間をこなし、最後はひときわ大きな釜を持った15m滝。懸垂して釜を泳ぐと林道はすぐだった。
遡行・下降の図(画像クリックで拡大します。)