※BC(バックカントリー)で遊ぶには十分な装備、知識、経験が必要です。安全に注意し、レベルに合ったフィールドで楽しみましょう。
白山・尾上郷川カラス谷遡行 福島谷下降
2014年9月6日

白山東面の尾上郷川支流カラス谷は遡行記録は少ないが、中流部にこのあたりの山域の中では出色の強烈なゴルジュを持つ。また、遡行後に登山道がないため、下降も一筋縄ではいかず、総合的な力が必要になる沢だ。
今回、1196m二股から右俣を取り、コルを通過後、御母衣ダムに直接注ぐ福島谷を下降するルートを一泊二日で試みた。
(レポート:相川 写真:相川、和田)
■9月6日
入渓(7:50)-1090m二股(11:50)-ゴルジュ終了点(16:35)-幕営地1196m二股(16:45)
福島谷が国道に出合う地点に車を1台デポ。御母衣ダム沿いに車を走らせ、尾上郷川に沿った林道をカラス谷出合まで入る。
カラス谷に入ってみると、長雨が続いたせいだろうか、このスケールの支流としては、ちょっと面食らうほどの水量だ。はたして、ゴルジュ区間は遡行になるのか。
谷が左に屈曲し、8m滝のお出迎え。ここから序盤の難所の巨岩帯がはじまる。右岸の壁をロープを出して越えるが、しょっぱなから外傾してヌメッて悪い。
ところどころ、微妙なクライミングが出てくるが、お助け紐でクリアできる程度。直登不能な8m滝を左岸ルンゼを絡めて越えると、沢は一気に穏やかになった。
しばらくはのどかな河原が続く。魚影も濃く、このあたり目的地にゆっくり滞在するつもりで来ても、気持ちの良いところだ
急に谷幅が狭まり急流の水路の先に2m滝が掛かる。静と動の切り替わりの激しい沢だ。ここは手前から右岸側の壁の上をトラバースして抜ける。
その後も穏やかな河原が続くが、時々、急に谷幅が狭まって、強烈な滝が現れたりする。洞窟状8m滝はすごい水量をたたき落としており、ゴルジュ内がこんな状況なら到底突破は無理だなと思わせるが…。
この滝は、右岸のリッジから小さく巻く。
1080m二股を通過し、小滝を3つほど超えると急激に谷幅が狭まり核心のゴルジュが始まる。
長淵の先に3mCS滝が見える。空身で左岸をへつり泳ぎで近づき、右岸の凹角に飛びつく。凹角に入ってしまえが容易な登りで突破。
全く同じような長淵とCS滝。流れの弱い右岸から近づき、微妙なパーミングに耐えて体を引き上げる。
谷は少し開け、大釜を持った8m滝が続く。ハーケンを打ちながらのクライミングで右壁を直登する。
しばらく容易な滝が続いたと思ったが、谷が大きく右に曲がった先に激流の淵を伴った2mCS滝が。PFDをつけてトライしてみるが人類には無理なレベルで到底近づけそうにない。あきらめて、右岸から入るルンゼからの大巻きを選択する。
このルンゼも傾斜が強くぼろいため気が抜けない。途中、跳ね返されたCS滝の先に強烈な滝が掛かっているのが見えた。いずれにしてもここは巻くしかなかったようだ。2ピッチ登り、懸垂ワンピッチ。後は歩いてゴルジュの先に抜けることができた。予定よりちょっと手前であるが、1196m二股を幕営地とした。あのゴルジュは魚も越えられないのだろう。あれほどあった魚影が全く見当たらない。
■9月7日
1196二股(6:50)-福島谷とのコル(10:20)-1250m堰堤(12:00)-遡行終了点650m大堰堤(14:45)
夜になって、急に雨が降り出し、焚火もまともにできず寒い夜を過ごしたが、朝には天気は回復していた。
7時前に幕営地を出発する。この日も長丁場が予想される。カラス谷のこの先の区間は記録未見であるが、地形図を見る限りはそれほど困難には思えない。
序盤はひたすら小滝を越えていく。特に盛り上がりもなく、退屈に感じられるころ、谷が右に大きく曲がる地点に、ぴりりと辛い2段10m滝が掛かってだらけた気持ちに喝を入れてくれる。
ちょっとしたゴルジュが続き、出口の15m滝を快適に登ると再び穏やかに。
その後はコルまではさしたる困難はない。途中の10m滝は左から簡単に巻き。10:20にコルに到着。幸い藪こぎはほとんどなかった。
ここからは福島谷の下降。記録のほとんどない谷であるが、地形図上では傾斜も緩く、下降向きに見える。途中、大滝があるという話もあるが…
序盤は単調だ。顕著な滝もほとんどなく、ひたすら下降をこなしていく(遡行図は、顕著な滝以外は省略している。)1250m付近に地図にない古い取水堰堤跡があり、大休止。
堰堤を越えると、谷の様相が変わった。間もなく前方が切れ落ちていると思ったら大滝の上に出た。ワンピッチ懸垂でこなすと、その先はゴルジュ状の区間が連なっている。
ゴルジュ区間は、ほどほどの難易度で時々飛び込みを交えながら楽しく下れる。最初の懸垂以外はロープは必要なかった。
ゴルジュが終わると巨岩帯となる。時々、8m程度のやや大きな滝が何本か掛かるがなんとかクライムダウンで下降できる。
この区間は、遡行しても楽しめるだろう。
どんどん下って北俣谷との合流点の大堰堤に14:45着。踏み跡をたどると林業用のモノレール小屋があり、そこから登山道を少し歩くと発電所に通じる林道に出た。眼下には御母衣ダムの湖面を望むことができた。
カラス谷遡行図(画像クリックで拡大)
福島谷下降の図(画像クリックで拡大)