※BC(バックカントリー)で遊ぶには十分な装備、知識、経験が必要です。安全に注意し、レベルに合ったフィールドで楽しみましょう。
南紀三川リバーSUPツーリング
2013年12月21日

豊富な水量と僅かばかりの温かさを求めて紀伊半島最南端へ、3つの川で2泊3日のリバーSUPツーリングを堪能した。(レポート:三宅 写真:佐藤・三宅)
<1日目:古座川(一枚岩~少女峰)>
清流で知られる古座川。町を挙げてカヌー・カヤックを応援していて、全国的にも珍しいカヌータクシーで回送も可能というパドラー天国だ。その中流部にそびえる古座一枚岩は、高さ約150m、幅約800mの巨岩。一枚岩としては佐渡島の大野亀、屋久島の千尋の滝と並ぶ日本最大級で国の天然記念物に指定されている。
しかしここは、釣りや川漁が大変盛ん。上・中流部のパドリングが許されるのは12/10以降から早春までという限られた時期となるので、この時期が実はベストシーズンなのだ。
スタートは一枚岩から、ゴールを河口に設定して感動的なフィニッシュとしたいところであるが、折しも強い冬型の気圧配置で強風注意報が発令中。そのため、強い向かい風でもたどり着ける少女峰をゴール地点とした。

道具の準備と回送を手早く完了し、雄大な日本のエアーズロック「古座一枚岩」を見上げつつスタート。
週の半ばのまとまった雨のおかげで水位は少し高め、加えて風速3m超えの強い追い風に進行が助けられる。川の蛇行で場所によって向かい風や横風になることもあるが、ほとんどは追い風。パドルを空中に掲げてマスト代わりとすれば十分な推進力が得られる

清流とはいえ雨の後のため場所によっては濁るが、しばらく進むと澄んでくるという繰り返し。
平和な里川の風情の前半から、後半になると景色は一気に切り替わる。、天柱岩、虫食い岩、牡丹岩などの巨石・奇石群は、中国の桂林もかくやと思わせる異様な景観。人を寄せ付けない絶壁が猛禽の棲家となり、トビ以外にも鷹か隼の姿が見られ、我々の頭上では息詰まるハンティングシーンが展開されていた。

やがて特徴的な少女峰がその姿を現すと、左岸に整備されたトイレつきの駐車場があり、そこがゴール地点となる。
南紀で過ごす残り2日間のため紀伊半島を海沿いにさらに東に、今宵の宿である新宮市へ向かう。

【当日のデータ】
水量:相瀬1.00m 月野橋0.32m
プットイン:一枚岩キャンプ場
テイクアウト:少女峰駐車場
所要時間:3時間
距離:約11km
ボート:インフレータブルSUP
グレード:2級
<2日目:北山川(田戸~竹筒)>
北山川下瀞リバーSUP 2013.12.22

キャンプでなく宿という万全の態勢で臨んだ我々は、北山川瀞峡へ向かった。
この日は、小森ダム26t放流と言う恵まれた水量である。
コースは、ジェット船の上流側の終点である田戸をスタートし、瀞八丁-玉置口-瀞大橋を経て竹筒がゴール。
回送にジェット船を利用することも可能だが今回は車で。
瀞ホテル脇から峡谷の底へ、長い長い階段を下りると別天地。
騒がしいエンジン音と乗客のざわめきを響かせたジェット船が去れば、静寂に支配される。

スタートからしばらくはウォーミングアップにちょうど良い瀞場が続く。
圧倒的なボリュームで両側から迫る岩壁、瀞峡の中でもとりわけ景観のすぐれた瀞八丁と呼ばれる区間だ。
やがて瀬が現れるが、ルートはほとんどまっすぐで水深もある。
このコースでは、全ての瀬がジェット船のために掘り下げられ、ルートも直線か緩やかなカーブとなっている。

両岸岩壁の深い渓谷を抜け、左岸に集落とキャンプ場の芝生が見えると玉置口。さらに渓谷は開けて砂利の河原が現れると、瀬と瀞場が心地好い間隔で現れる。
ビルの3階くらいの高さに砂利が積み上がった川岸を見上げ、この川の増水時の激しいパワーを想起する。

蛇行を繰り返しながら流れは更に先へと進み、やがて連続した白いアーチからなる瀞大橋に到達する。ここはジェット船の途中駅があるポイント、広大な砂利の河原が広がる。
ジェット船は、時に時速60kmという高速で、川を遡り下って来る。これをやり過ごす方法はエンジン音に耳を澄ませ、出来るだけ早く接近を探知することしかない。特に下りの船は減速せずにすごいスピードで瀬に突入してくるので、音が聞こえた段階で回避しないと間に合わない。
やがて、カーブの遥か先の斜面に張り付くように集落が見えると、そこが三重・和歌山・奈良の三県境のヘアピンカーブ。欧米ではホースシューベントと好んで呼ばれる地形だが、風水では龍穴というすごいパワースポット。そのカーブの頂点に位置するのがゴールの竹筒だ。
今回は微風の追い風に助けられたが、それでもなかなか漕ぎ応えがある長いコース。
景観、流れともに、相変わらず素晴らしい絶好のSUPツーリングコースである。

【当日のデータ】
水量:小森ダム26t 日足0.58m
プットイン:田戸
テイクアウト:十津川村竹筒国道311脇スロープ
距離:14.7km
所要時間:4時間
ボート:インフレータブルSUP
グレード:1.5-2級
<3日目:熊野川(瀞峡道の駅~飛雪の滝)>
2日目に我々を楽しませてくれた北山川は、十津川と合流し、熊野川と名を変えて更に雄大さを増していく。
瀬は自然のままとなるが、クラス2までは至らず、総じて下り易い。また、瀞場もゆっくりだが流れており快適だ。

道の駅脇の売店で名物の『めはり』を購入して出発。
スタートからいきなり待ち受けている瀬を慎重にクリア。先は長いのでここで濡れてしまう訳にはいかない。
一昨年の水害の爪痕が生々しい。急峻な岩山の高みから注ぐ滝と、その力で尾根ごと大きく崩壊し、大量の大岩を流れに振り落とした崖。そして黄色く濁った流れという、原始の地球を想わせる広大で荒々しい景色の中、しっかりした流れと微風の追い風によって、あまり漕がずともゆったりとボードは進んでいく。
やがて、前方右岸崖上の路側帯にデポした車が見えてくると、そこがゴール地点である。。

この直下に少しきつい長い瀬があり、それ以降は流れが少し緩やかになる。風向きにも配慮が必要だが、もう少し距離を取っても良いだろう。
すぐにゴールせずに、対岸に目をやると立派な滝が姿を現す。「飛雪の滝」はその昔、紀州藩主の徳川頼宣が訪れて詠んだという漢詩がその名の由来という、高さ30m、幅12mの3~4筋からなる水量豊富な名瀑である。左岸に上陸し河原を歩いて支流をたどるとすぐに滝壺に至る。折しも陽が差して虹が二重に掛かる美しい一瞬に出会えた。
滝を堪能してから、右岸へ渡ってゴール。川岸からは緩やかな上りになっており、苦も無く道路まで上がることができる。

【当日のデータ】
水量:小森ダム放流26t 日足0.53m
プットイン:瀞峡街道熊野川
テイクアウト:新宮市相賀(飛雪の滝対岸左岸)
距離:5.3km
所要時間:2時間
ボート:インフレータブルSUP
グレード: 1.5級