※BC(バックカントリー)で遊ぶには十分な装備、知識、経験が必要です。安全に注意し、レベルに合ったフィールドで楽しみましょう。
日本オートルートスキーツアー 1/2
2005年4月29日


獅子岳のパノラマ:右側が室堂への稜線で右奥より雄山、竜王、鬼岳、左は五色ヶ原、越中沢岳、薬師岳と続く

一緒に焼山ツアーに行った「ひょうご山蹊記」著者川崎航洋氏からの誘いもあり、以前からの念願であった日本オートルートを縦走してきた。人数・嗜好等の状況もあり、川崎氏を含めた2名と、我々5名の2パーティーで協力しながらの縦走となった。

立山から槍ヶ岳を通過し上高地に抜けるのが日本オートルートの定番だが、最後まで滑走が楽しい新穂高温泉への下山を選択した。基本的に悪天時以外は雪洞・ツエルト予定で、予備日も含め6泊7日の装備・食料を持ち入山。最短で3泊4日で抜けれるコースではあるが、悪天、または、良い斜面があれば停滞(滑走)の予備日も含めた日程である。

だが、初日に大雨・濃霧で撤退、3日目午後も強風・大雨と天候に大きく影響を受け、また、メンバーの体調不調などいろいろなアクシデントがあったが、メンバーの協力と日数を4泊5日に短縮し最短コースを選択することで新穂高温泉までの65kmを抜けることができた。1日目と3日目午後以外は、幸いにも天気が良く、黒部の山奥の真っ白で雄大な景色と斜面を堪能できた。
もちろん、この縦走での新商品開発テストは非常に得るところが大きいものとなった。
(レポート:橋本、写真:宮崎、荒木、川崎、橋本)


 
4/29 雨&濃霧、本降り&濃霧のためびしょぬれ&視界がきかず撤退
立山7:00=室堂9:00-10:30一ノ越11:30-御山谷2550m-鬼岳東肩(撤退)14:00-15:00一ノ越(小屋泊)

4/30 晴れ、翌日午後から雨予報のためいけるところまで歩く、スゴニノ谷に熊をみかける
一ノ越6:50-御山谷2550m-鬼岳東肩2680m 8:00-獅子岳9:10-ザラ峠-五色ヶ原12:30-鳶山13:40-越中沢乗越14:30-越中沢岳16:30-スゴノ頭手前コル17:50-18:20スゴニノ谷1950m(ツエルト泊)

5/1 晴れのち雨、薬師岳下りから本降りに
スゴニノ谷1950m 5:30-スゴ乗越6:40-スゴ乗越小屋7:45-間山9:00-北薬師岳12:50-薬師岳14:00-15:00太郎平小屋(小屋泊)

5/2 雨のち晴れ、雨&ガスが上がってから出発、黒部五郎周辺はどこも素敵な斜面ばかり
太郎平小屋10:15-北ノ股岳13:10-中俣乗越13:45-ウマ沢上部2450m 14:45-黒部五郎岳北側肩16:10-7:10黒部五小屋(避難小屋泊)

5/3 晴れ、駆け足で下りる、大ノマ乗越からの長い谷からの滑走は最高
黒部五郎小屋7:20-10:10三俣蓮華岳11:10-双六小屋12:10-双六谷2200m 13:50-大ノマ乗越15:00-秩父沢出合16:10-わさび平小屋17:00-18:30新穂高温泉

※このコースは、営業小屋の少ない長期の縦走コースのため事前十分な準備、ビバーグ・アイゼン・ロープなどの装備が必要です
<1日目 4/29>

立山から室堂へ。あいにくの雨。
雪の大谷もガスの中。

登山届けを出し、室堂ターミナル屋上より出発。
やはり天気が悪いのが残念だ。
濃霧のため一ノ越にいくまでに若干遠回りする。
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室堂
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一ノ越
一ノ越山荘でゆっくり休憩&昼食。
雨は止む気配もなく、濃霧もそのまま。

「停滞」の文字が頭をよぎるが、いけるところまで行こうとのことで出発。
これが結局大きく体力を消耗することとなる。

天気予報は曇り時々雨であったが、しばらくして本降りになった。どうやら気圧配置が悪い方にぶれたらしい。

視界は5-10m程度。ばらばらにならないように、こまめに止まってメンバーを確認しながら移動。

地図と高度計とコンパスを確認しながら、御山谷を2250mまで下り鬼岳へ登る谷を探す。高度の下げすぎを避けるため先に横に移動しいけなくなったら高度を下げるを繰り返す。また、高度は複数の高度計を照らし合わせぶれを少なくする。高度2250mで南に進み壁にあたればそこが目標の谷だ。
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一ノ越山荘
DSCN1126.JPG 一ノ越~獅子岳は険しく迷い易いらしいとのことだったので、竜王岳を下からまいて谷をつめ登山道の通る鬼岳東肩2680mを抜ける予定であった。

谷を登り始めてしばらくすると岩場が。抜ける肩の高度よりずいぶん低い。早めに尾根にでてしまったらしい。尾根は岩場が続く。獅子岳側は落ちてるため2680mまで高度を上げなければ南側に抜けられない。仕方なく、尾根伝いに高度を上げるがさらに険しくなるため、一度谷側に高度を落として谷を登ることに。GPSでも再確認。

鬼岳の肩目前のところで時間を見ると14時。既に大雨の中2時間半休みなしで行動していた。皆かなり濡れ体力を消耗している。今日ビバーグすれば、そのあとの長い行程を行くのはかなり困難になる。今日は山小屋に泊まって濡れ物の乾燥と休養が必要だ。

このペースでは、とても今日中に五色ヶ原山荘までたどり着けそうにない。濃霧で迷うリスクもかなり高い。なら一番近い一ノ越山荘に撤退するのが一番安全である。我々のパーティーはここから即座に引き返すことに。
川崎氏パーティーは、いけるところまでいくとのことでここで一度別れる。安全を祈る。
戻る際は大雨に加え更に向かい風の強風が阻んだが、1時間後には暖かい一ノ越山荘になんとかたどりつく。

早速全ての濡れ物を乾かしにかかる。乾燥室にある業務用の巨大なブースターは非常に強力で頼りになる。送風口直前はやけどするほど熱いので少し距離を置く。耐久撥水ベースレイヤー「フラッドラッシュスキン」とコンパクトソフトシェル「ブリーズラップ」のレイヤリングのメンバーは体への濡れがかなり少なくすんでいた。

小屋泊は快適である。屋根も布団もお湯もビールもある、値段は高いが。このあとの長い行程のために、乾杯&栄養をとり十分休養する。

定時交信時間に無線で川崎氏と交信。受信状況が悪く良く聞き取れなかったが安全にビバーグできていることと、なにかトラブルを抱えていることだけ分かった。予報では明日朝から天気が良くなるが、明後日午後からまた大きく崩れるとのこと。明日はいけるとことまでいくと伝えて交信を終える。
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一ノ越山荘の巨大なブースター前で
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本日は豪華メニュー。
具沢山の特性スープに、アルファ米、焼豚、ビール!

<2日目 4/30>

昨日の雨がうそのように快晴。
一人が体調不良のため一ノ越より室堂に下山することになり4名パーティーになる。

昨日は距離的にほとんど進んでいない。
改めての再出発である。
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一ノ越 竜王岳をバックに
御山谷の良い斜面を2250mまで下る。
6泊分の食料・装備とアイスバーンで結構ハードである。

竜王岳東斜面をトラバースし鬼岳に上る谷にでる。
ここからシールを着けて登る。
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竜王岳東斜面をトラバース 右奥は雄山
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鬼岳コルに続く谷
谷を登っていくと、昨日の我々の踏後が見える。笑ってしまうぐらいおばかなルートを通っている。

途中、一ノ越に戻る3名パーティーに出会った。昨日の濃霧で獅子岳に向かう道が見つけられずコルで他のいくつかのパーティーと共にビバーグしたとのこと。かなり消耗したためオートルートは諦めて引き返すことに決めたという。雪洞でビバーグした2名パーティーも見たという。川崎氏達に違いない。

1時間程度で鬼岳東肩2680mへ着く。昨日は2時間半もかかっている。条件の悪い時に無理をしてもくたびれ損ということか。
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鬼岳東肩2680mへ
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鬼岳東肩2680m 後ろは険しい竜王岳
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南側にはアップダウンの向こうに獅子岳が見える
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窪みに雪洞発見。
川崎氏達のものであった。

ここから下り出し
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鬼岳からの急斜面を滑走
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獅子岳に登り返し 急登をアイゼンをつけて
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獅子岳から北を振り返る
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手前より鬼岳、竜王岳、雄山。結構険しい。
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南にはこれから行く五色ヶ原、薬師岳、野口五郎岳が見える

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ザラ峠への急斜面を滑る

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気持ちよいが急斜面なので滑落注意である

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ザラ峠からの登り こちらも急

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五色ヶ原の南肩 ここで昼食。
ここまでもアップダウンが激しいがこの先も続くので十分に栄養補給しで出発。

一面広く真っ白な五色ヶ原。
五色ヶ原山荘の前で川崎氏達と合流。昨日は、別れた後も濃霧のため視界が利かずルートがはっきりしなかったため無理をせず途中で雪洞ビバーグしたとのこと。装備に問題が起ったため我々を待っていたのだ。
昨日の無線交信の内容がようやくここで分かった。

天気が大崩れする明日のお昼までに太郎平小屋につくために、今日はいけるところまで行きましょうと、再出発。
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五色ヶ原を横切ると
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川崎氏パーティーに出会う
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鳶岳からの下りは雪がきれている箇所もあり夏道も歩く
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夏道から尾根に
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鳶岳を越えると、左に越中沢岳、奥に薬師岳が近くなってくる。

尾根が狭いためしばらく壷足で下ってから越中沢乗越まで滑る。今日はアップダウンが多く下りで全て滑れない場合もありペースが思うように上がらない。さらに、メンバーの一人が直りかけの腰痛がひどくなり出し少々ペースを落として移動する。

緩やかな登りが続く越中沢岳もなかなか近づかない。

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越中沢乗越 シールでまた登り始める

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越中沢岳

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越中沢岳より南をみる 黒部湖へと続く赤牛岳が正面に
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手前にスゴノ頭、右奥に薬師岳
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越中沢岳からは黒部上流の山々が見え始め山深さを感じる。

ここから先は、細い稜線・岩稜地帯の急なアップダウンを繰り返しながら一気に高度を下げる。雪付きも悪く険しく時間がかかる道のりだ。

安全確保などの補助ロープとして、軽量でダイニーマーコアの「ゴージュバッグ30」をザックの外側に付けて下る。結局使用する場面はなくて済んだが、パーティーで最低一つは携帯すべき装備だ。
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スゴノ頭北側コル
テントが一つ張ってあった。既に六時近い。

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コルからスゴニノ谷を1950mまで本日一番の斜面。
疲れているが快適な滑走で気持ちがいい。

ビバーグ地点付近で熊の足跡発見。越中沢岳より下降中に見つけた熊である。かなり大きい。
地元の人からの話だと、今黒部ではスゴノ頭あたりが一番深いという。やはり、ここは気配が違う。
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熊の足跡 大きい
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ビバーグ地点には日暮れ前に何とかつくことができた。時間がない。今晩は天気が良いので、雪をならして、ツエルト3張設営。同時に晩飯準備とダイニング作り。

finetrackツエルトはダイニーマを使ってあるので、軽量なだけでなく非常に綺麗に設営できる。お勧めだ。

快適なダイニングで晩飯。今日の贅沢品は生ハム。軽量化のため、焼酎&ワインを沢山減らす。明日朝の行動を早くするため、朝のお湯も沸かしてポットへいれて就寝。足がにおう。

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finetrackツエルトII  必ず携帯したいアイテム

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快適なダイニングでの晩飯&宴会

<3日目 5/1>

目をさましたらアルファ米にお湯を入れてもう一度寝る。20分後にシュラフに入ったままスープを入れて朝食。何でもうまい。

天気は晴れだ。今日は太郎平小屋まで早めにたどりつきたい。予報では午後から大荒れの模様だからだ。

ツエルトを撤収して出発。スゴ乗越を目指して交代でステップを切りながら壷足で一気に高度を稼ぐ。
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スゴ乗越。休憩したらすぐに出発。
先は長い。

スゴ乗越小屋までは、雪庇が発達した尾根をトレースする。
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スゴ乗越より薬師に向かって
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雪庇が発達した尾根
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スゴ乗越小屋
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休憩
DSC00320.JPG スゴ乗越小屋は8割がた埋まっていた。中には入れないよう。ただ、小屋と雪の間のスペースでビバーグしたパーティーもどうやらいたみたいだ。

このあとまずは、間山を目指す
振り返ると、正面に雪付が悪い越中沢岳、右にスゴノ頭、左奥は雄山への尾根が見える。 DSC00329.JPG

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下を見下ろすと、昨夏に沢下りした上ノ廊下が見える。スゴ沢出合の広い川原が見えている。ここら辺は完全に割れており流れが見える。

間山で休憩。
さらに先を目指すが薬師岳はなかなか近づかない。また、間山から上は非常に強風で、止まって踏ん張らないと耐えられないことも。気圧配置が大きく変化しているのだろう。本降りになる前に薬師岳を越えないと消耗が大きくなる。
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間山で休憩
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強風のため止まって耐える
長い長い道のりを経て、北薬師岳山頂。
既に1時近くになっている。
幸いにも天気はなんとかもっててくれている。
先を急ぐ。

薬師岳カールは非常にきれいだ。
山頂から急斜面を下るきれいなシュプールが一本あった。

次回はこのカールに滑り込んで金作谷を下り薬師見平に抜けてみたいものだ。
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薬師岳カール

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最後の急斜面を登ると薬師岳に到着。
2時になっている。
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記念撮影をしてすぐ出発。
すぐ雨が降り出してきた。太郎平まで駆け足で滑走。
雨足がどんどん強くなってくるなか太郎平小屋に3時到着。
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薬師岳より雲ノ平を覗く 雨が降り始めてきた
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薬師岳から太郎平への稜線。この左(東)側を滑走した。
乾燥室で濡れ物をほしたら、山小屋のお約束、ビールで乾杯。

このあと腰痛のメンバーは疲労のため震えがくる。3日ともハードな行程だったからだ。すぐにお湯を沸かし即席湯たんぽを作る。それと、中から暖かく栄養をつけるために、にんにくたっぷりのトムヤンクンスープ。そして睡眠。

晩の天気予報は、雨が明日朝までで昼から晴れて当分晴れが続くとのこと。打ち合わせの結果、腰痛のメンバーはどうしても完走するとのことなので、ここから最短ルートでゆっくりペースで新穂高温泉までいくとのことでまとまった。明日は早くても10時発、天気が回復してからの出発だ。

今日はゆっくり休もう。 <4日目へつづく>
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