※BC(バックカントリー)で遊ぶには十分な装備、知識、経験が必要です。安全に注意し、レベルに合ったフィールドで楽しみましょう。
南紀北山川ロングコース リバーSUP
2013年9月29日

南紀の大河である熊野川の上流部北山川。
瀞峡と呼ばれる風光明美な深い峡谷は、日本唯一の飛び地の村として有名な北山村のある和歌山と、奈良、三重の三県が境を接する稀な場所でもある。
観光ダム放流の最後の週末、増水の濁りが残るなか、13年夏を締めくくりとなるワイルドなダウンリバーを楽しんだ。
(レポート:三宅 写真:三宅・宇都宮)
名物の観光筏下りのため例年GWから行われる小森ダムの放流、しかしそれも9末で終了、つまり今シーズンラストの週末だ。

今回はその名残に、筏下りのスタート地点、奥瀞のオトノリからゴールの小松を経て、さらに上瀞の大峡谷を抜けて田戸までのロングコース。
今回がSUPでの初降下となる2名をエスコートしてのダウンリバーツアーだ。
先々週やってきた大型台風による大増水以来、水は濁って水量は多いままである。
増水の影響は色濃く、瀬の形にも変化があったようだ。
いつも思うのだが、最初に最も長い瀬があるのが、この川の辛いところ。
北山川は、その昔、ここで伐採した木材で筏を組んで川を下って熊野川を経て新宮へ運んでいた川の輸送路であった。
オトノリの瀬は、その名の由来が「弟乗りの瀬」であり、長男は筏に乗でられないほど危険な瀬であることを意味している。
現在は観光筏のために整備され、往時の危険性は相当除去されているが、しっかりした勾配の早い流れの中で、うっすら顔を見せる岩やストッパーホールなど、避けねばならない障害が多く、難度の高い瀬であることに違いはない。
濁りのため水中の様子はほとんど伺えなかったが、多めの水量に助けられ、2回のニーリングでクリアできた。
しかし、後続の2名は残念ながら落水してスリリングな泳ぎをさせられる羽目となる。

オトノリ下段のウェーブは、プレイスポットとして名高いが、今日の水量のためか立ち上がりが少ない。
続く上滝の瀬は、ナイアガラとも呼ばれ、見た目にダイナミックなものである。
落ち口が浅く広いので、そこで擦ってしまいバランスを崩されがちであるが、水量に助けられ、バックウオッシュを突破する時の瞬間的なニーリングだけでクリアできた。

大いに調子に乗って臨んだ杓子の瀬では、瀬の出口でバランスを崩して落水を喫してしまう。
さらに瀬をいくつか経て、ここも名高いプレイスポットであるムササビホールに到達。
ここが増水の影響が最も大きいようで、右岸に広大なビーチが出現し、左岸の蛇篭の下にもサンドバーができたため、流芯に流れが集中。
カヤックでプレイするにはベストコンディションのホールに変わっていた。
こういった瀬は、増水のたびに様相が変わるので、筏の安全航行のため、その都度、川底を掘り返したり蛇籠を入れたりなど、筏師の作業が必要とされる。
三角波の立った下って楽しい2つの瀬を経て、浅くて長い早瀬を過ぎると、筏下りのゴールである小松に到達する。
観光筏はここで索道を使って岸に引き揚げられ、トラックで再びスタート地点まで戻される。

その400mほど下流にある発電放水口から水が豊富に出ており、そのスムースウェーブでリバーサーフィンを楽しむ。
その直下にある下滝は、後半随一の長く難しい瀬である。
瀬の入口は、流れの中に頭を出している岩によって3つに分けられる。
その左側が最も安全なルートであるが、今回はあえてセンターから入って左に抜ける難度の高いルートに挑戦する。
瀬の半ばでそのままセンターを行ってしまうと巨大なシュートに突入、右に行ってしまえばシーブになっており、どちらにしても身の危険を大いに感じるところだ。
今回は無事に左への進路変更に成功、さらに今度は右カーブを右寄りに抜けてキレイに下滝を攻略した。
ここからは多少穏やかになり下って楽しい瀬が続く。
しかし、ここは動力船の侵入を許さない瀞峡の最深部。
切り立った崖に両岸を挟まれた深い渓谷の底を蛇行して川は流れ、人間の営みから大きく隔離されたエリアである。
ケガをしようが、とにかく下りきって人里に出てしまう他ない。
そうして、区間最大かつ最強のウエーブを擁する小和田に到達。
せり出した大岩により川幅が一気に狭まるところで、流れの密度とスピードが増し、巨大なウエーブと険悪な流れを形成している。
この強烈なバックウォッシュに正面からぶつかる愚を避け、瀬の入口を左から入って右エディを刺すルートを取る。
ここからゴール手前まで、決して弱まらないしっかり下り応えのある瀬が連続する。
油断せずに下らないと、何度も落水させられることになる。
そして、観光ジェット船の姿が見られるようになると、ゴールの田戸はすぐそこである。
今回は、増水のためいつもより流量が多く、瀞場もしっかり流れていたため、コースタイムはかなり短縮された。

新たに2名が北山ロングコースのSUP降下に成功し、達成者はこれで5名となった。
【当日のデータ】
水量:小森ダム観光放流(多め)、小松放水口(多め)
プットイン:オトノリ(観光いかだスタート上流駐車場スロープ)
テイクアウト:田戸
所要時間:4時間
距離:約10km
ボート:インフレータブルSUP
グレード:3級