※BC(バックカントリー)で遊ぶには十分な装備、知識、経験が必要です。安全に注意し、レベルに合ったフィールドで楽しみましょう。
台高・奥ノ平谷遡行
2013年7月14日

台高・奥ノ平谷は沢登り向きの谷が集まる台高山脈東面、蓮川の流域にあり、ゴルジュに大滝群、優美な源流部と様々な顔を持った名渓だ。
心配な天気ではあったが、1泊2日で遡行してきた。

なお、滝の名前は故・川崎実氏の写真集「秘瀑」より採らせていただいた。
名のある滝が多いことから、古くより、杣人が谷の奥深くまで入り込んでいたことがうかがえる。
最近ではかなり不明瞭になっているようだが、古い杣道がサスケ滝付近まで通じているようである。
(レポート・写真:相川)
遠目でもそれとわかる大きく切れ込んだ谷が奥ノ平谷。ヌタハラ谷を渡る橋の手前で車を止め、わずかな歩きで入渓点だ。しばらくは平凡な河原。
右上方に大きな嵓が見えたと思うと、谷が急に狭まりゴルジュが始まる。初めて出てきた戻滝は水量脇を簡単に登れるが、その上の魚止めの滝は手ごわそう。右岸を簡単に巻けるので、戻滝下までいったん戻って巻く。
しばらくは快適に通過できるゴルジュが続く。仙人滝12mも快適に登れる斜瀑。(地形図に仙人滝の名前が記載されている箇所があるが、その場所は目立った滝はない。記載間違いか。)
いったん谷が開け、再びゴルジュが始まる。ほら貝のゴルジュだろう。入口の7m滝を右岸から越えると、ハングした壁にかかるほら貝滝が見えた。
ここは、少し戻って左岸のチムニーを登り、垂直の岩盤を立ち木への投げ縄で越えた。
しばらくは谷が開け、小滝と淵が続く美しい渓相に。
折りよく太陽が顔を出した。淵に光が差すと幻想的な風景
ここから先は、20mオーバーの滝が続く渓相に変わる。この谷の巻きは、若干悪いところはあるがほとんどが小さく巻くことができ、ほぼ落ち口にダイレクトに達して谷に戻るのに懸垂もいらない。苦しかった印象がほとんどなかった。
まずは洞窟状に懸かる鎌滝25m少し手前の左岸リッジから巻く。
その後もガンガン滝を越えて行くと、この谷の盟主ともいうべきサスケ滝40mが見えてきた。滝は2条になり、うち右手の流れだけが右、左、右と2回屈曲した、一目でそれと分ける特異な形状だ。左手から別のナメ滝も注いでいて、素晴らしい空間だ。
直登可能と判断して取り付く。下部は容易だったが、上段の水線際はなかなか際どいクライミングだった。
落ち口左側を一段上がったところに快適な砂地があり、その先も廊下が続いているのを見てここを幕営地に決め、ツエルト、タープを設営。
薪も水も豊富で快適なサイトだったがずっと降り続いた雨が残念であった。
雨は一晩中降り続き、朝になると水に濁りが見られたが、増水は大したことはない。
遡行は続行だ。
サスケ滝上の廊下はどん詰まりの滝が越えられそうになかったので、右岸をまとめて巻く。その上も6m、10mと続く。10m滝は右岸の垂壁に絶妙に木の根が張っていて、楽しく登ることができた。
すだれ状の優美な中の滝20m。左岸ルンゼを簡単に登ることができた。
いくつか滝を越えて行くと、右岸から2本の滝が並んで注ぐ面白い光景。
実は手前の滝は支流だが、奥の滝が本流。いったん、その先の支流のルンゼを登り、尾根を小さく巻くようにして本流に戻った。その上も豪快な20m級の滝が2本続く。
雨が強まってきて急いで登ったので写真を取りそこなったが、リッジを登りながら眺めるこの連瀑帯は、この谷一番の絶景ポイントであった。
いよいよ雨が強まってきて、谷は完全に濁流となった。最後の大滝2段25mも釜はまっ茶色。左岸をワンポイント悪いクライミングで巻くと、ようやく渓相は穏やかになった。
下流部で増水していたら、ヤバかった。
源流付近は、非常に平らで穏やかな渓相。もう一泊してこのあたりで幕営したら、最高だろう。奥ノ平という谷名の由来は、この地形だとか。
水が枯れるまで谷を詰め、最後はわずか30秒で台高縦走路に飛び出した。
この谷の下山は少々やっかい。
今回は、台高稜線を1367ピークまで上がり、東に延びる尾根を下って登山道に乗るプランで考えていたが、途中でテープを見失い、道もわからず、結局千石谷出合まで降りてから林道に登って帰るルートを選択した。
遡行図を作成しました。クリックで拡大。