※BC(バックカントリー)で遊ぶには十分な装備、知識、経験が必要です。安全に注意し、レベルに合ったフィールドで楽しみましょう。
若狭 常神半島神子 フリーダイビング海洋練習
2012年6月10日

春濁りが溶けた直後の若狭常神半島沖。
まだまだ冷たい日本海の海でフリーダイビングの海洋実習は実に楽しかった。(レポート・写真:金田)
※フリーダイビングとは、「アプネア」とも呼ばれ、ボンベを使わない閉息潜水での潜水深度を競う競技である。
どんよりと蓋をしたような曇り空を見ながらこれから始まる練習場所の海上の様子が心配になるが、若狭常神の海ならば大丈夫だろうということで、ウエットスーツに着替えてブリーフィングを開始した。
本日のリーダーから、ウネリが強くなる場合はすぐに中止するという伝達があり、海上での注意事項と各自の体調を報告する。
主に海中で行われるフリーダイビングコンスタント競技では、体調の自己申告などチーム員同士のコミュニケーションはとても大事なのである。
幸いこの日は少し船酔いの気持ち悪さが加わるくらいで、海の機嫌は練習が終わるまでなんとか保ってくれた。
ブリーフィングを終え、装備の点検の行い、前日にすでにセットしてある沖の練習艇へと向かう。
多少の風とウネリは感じられるものの、みんなの笑顔に安心感はある。
本日のメンバーには、館山での大会でみごと3位に入賞したこともあるリーダーと軽く-60mの大深度に入って行ける二人がいるので、私のスキルアップには最高の日であった。
練習艇に着くなり、意外とレトロな方式(手動)で約-30mまでアンカーを下ろし、大会と同じ形式で1本2本のアタックを開始する。
アタック終了後は、各自の練習メニューに沿ったトレーニングへと移る。
50m以上の深度が必要な場所での練習が通常となるフリーダイビングは、沖や外洋で行われることが多く、当然小さなミスが大事に直結しやすい。
一番大切なことは、どんな状況でもチーム全員が選手のレスキューに積極的に参加できるスキルを持つことだ。
この日も練習の合間に2人や3人のチームに分かれみっちりとレスキューの練習を行い、また様々な状況での事故を想定し全員で話し合う。
海での事故は起きた時にあれこれ考えて対処するのは難しい。だからこそ事故の可能性を想像し、対処法を実践してみるしかないのである。
そしてこの日は、あいにくの視界の悪さに加え、赤クラゲが大量に発生していた。飾りのように美しく長く伸びる赤クラゲの触手は、うかつに刺されるとハンパなく痛いのだ。
ギリギリまで潜水し、息を堪えながら浮上する時に運悪くクラゲにでも絡まれたら一大事である。大きな事故の原因になる要因の一つだ。
サポートするパーティは、選手のコース内にクラゲが近づかないようにフィンでふわふわと遠くに追いやってやる。
これが意外と楽し。そして意外とクラゲは大量に押し寄せるので忙しい。
午前中の練習が終わり、午後からは各自のスキルアップに時間が使うことにした。
先輩方は7月の沖縄大会に向けてモノフィンの練習に励む。
その姿はまるでイルカを見ているかのようで美しいものである。
視界は悪いが海の青さの中で赤クラゲのしなやかな動きの横をイルカのような優雅な動きで潜水していくその姿に吸い込まれるように見入った。
クラゲもモノフィンも美しい。特にクラゲって美しい。
去年の11月に越前で潜っていた時も、視界の全てが水クラゲで覆われた時があった。
まるで泡の中を泳いでいるような錯覚を覚えるほど美しく、そしていちいち痛かった。
本日の私の課題は「耳抜き」に徹した。
ヘッドファーストでフリーイマージョン(フィンを使用せずロープを手繰って潜水する方法)で入り、ひたすら「耳抜き」を研究するのである。
途中からフッドファーストに変え調子を確かめながら、また繰り返す。
耳抜きには通常バルサルバ法(鼻をつまんでプーと力む方法)がよく使われるが、大深度を目指すフリーダイビングでは深度が深くなればなるほどバルサルバ法では水圧の圧平衡がとりづらくなるばかりではなく、耳を傷めやすい。そのため、耳管の筋肉を直接動かすトインビー法やヨーイング法をミックスさせながら自分にあった方法を探しだし練習していく。
練習も終わり、迎えの舟が来るまでのんびりとしていると、なにやらカモメがプカプカとさりげなく大胆に近づいて、何かをおねだりしているようだ。くえ~っなんか投げて~(と言っていた。たぶん)
広い海に浮かぶカモメとゆったり流れる雲を交互に眺めながら、ぽりぽりと煎餅をかじり、早く水温が上がってくれないかな~なんて考えながらこの日の練習は終わりにした。