※BC(バックカントリー)で遊ぶには十分な装備、知識、経験が必要です。安全に注意し、レベルに合ったフィールドで楽しみましょう。
立山 カルデラBC&手作り温泉ツアー
2010年4月24日

  春スキーや観光客で賑わう立山。一方その裏手の立山カルデラは容易に人を寄せ付けず、訪れる人もほとんどいない別天地だ。カルデラにスキーで滑りこみ、立山温泉で手作り温泉を楽しむツアーにトライした。
(レポート:相川、写真:相川、橋本)
※このルートは十分な山岳技術(雪稜、登攀)が必要で、立山での春山スキーの延長で安易にトレースすると、遭難のリスクがあります。
立山温泉は、かつては立山登山の玄関口であり、立山信仰の拠点でもあった温泉街が存在した。しかし、1858年の土石流により、温泉街は壊滅。その後復興したものの、度重なる土砂災害や、立山黒部アルペンルートのバス路線の開通などを受け、1973年には完全に廃湯となったようだ。昨年公開された「剱岳・点の記」でも測量隊の拠点として使われ、記憶に新しい人も多いだろう。   現在は、崩れ続けるカルデラ内からの土砂流出を抑えるため、日々砂防工事が行われ、無雪期に工事関係者だけが立ち入る場所となっている。かつての立山温泉は、現在はその痕跡を残すのみとなっているが、豊富な温泉は健在で、何箇所か温泉が自噴する場所が知られている。ちょっと手をかければ、入浴することも可能だ。せっかくなので、スキーと組み合わせて楽しむことにしよう。
周囲をぐるりと絶壁で囲まれたカルデラ内に入り込むことは容易ではない。弱点のコルのガレを下り、カチカチの急斜面アイスバーンを斜滑降で慎重に高度を落とす。  
  しばらく降りると少々硬いながら快適に滑れる斜面となった。非常に広く気持ちの良い沢だ。
下流の滝を避けるために、途中で左手の沢に乗り換える。ガスも晴れ、雪も緩み、標高差1000mほども快適な滑走が続く。この辺り、慎重なルートファインディングが必要だが、スキールートとしても、なかなか完成度が高い。  
  前方に湯気を上げる滝を確認。立山温泉新湯に到着だ。かつての立山温泉より上流部に湧く新しい源泉で、高温の温泉の池から、湯が滝となって流れ落ちている場所だ。1898年の飛騨地震を境に、冷泉が温泉に変わったそうである。今回はここが一番入浴できる可能性が高いと踏んで、目的地にした。
近くを整地して、ポットラックを設営。温泉までわずか20歩の快適な宿。  
  温泉掘り出し部隊は、さっそく温泉作成に取り掛かる。
別働隊は、温泉卵作成と源泉の見学に。温泉の滝の左手の雪の急斜面を15mほど登ると、台地上になり青白い温泉をたたえた直径30mほどの温泉の池があった。温度は65℃程もあり、入浴は無理。  
  温泉に落ちないように慎重に雪の斜面を下り、卵をセットする。ふと横を見ると、エノキタケが!
スノースコップをぼろぼろにして温泉も完成!5人が入浴できるサイズの温泉作成に時間がかかり、夕方急激に気温が下がってきたため、本日は足湯のみとして、入浴は翌日の楽しみに取っておくことにした。  
  メンバーのうち二人が、本日誕生日。ケーキに、できたての温泉卵もあり、豪華な宴となった。ポットラックは、わずか720gで5人で宿泊をするのに十分なスペースを提供してくれる。
朝起きて、朝風呂!なんという贅沢。
源泉からあふれ出したお湯は、滝を下る間に適温に冷やされ、全く温度調整の必要なく源泉かけ流しで絶妙の湯加減であった。もう少し、滝が長かったり、短かったり、湯量が異なっていたら、熱すぎかぬる過ぎで入浴は難しかっただろう。
湯は白濁し、軽く硫黄臭がする。泉質もかなり良さそうだ。
 
  今日の行程の問題は、カルデラからの脱出。
登れるかわからないがフル装備で、昔の登山道跡の松尾峠から、「表立山」を目指すことにした。
谷沿いは徒渉などが予想されるため、本来の立山温泉跡はパスすることにして右岸側の台地上を行く。  
  周囲を立山カルデラに囲まれた、絶景の台地上を進み、松尾峠下にたどり着いた。近年、登山道が復興したと聞くが現在は雪の下。急登がはるか上まで続く。
ハーネス、ピッケル、アイゼンに換装して雪壁に取りつく。ロープもスタンバイ。  
  登るにつれて、絶景が広がっていく。薬師岳からオートルートに連なる山々が一望だ。
今年は雪が多かったため、わずかに2mほど藪を漕がされたが、ほぼ雪はつながっていた。例年ではこの時期はもっと藪が出ている可能性が高く、かなり困難な登りになることが予想される。
かつて多くの人が行き交ったであろう、松尾峠に立つ。その先は見慣れた立山の景色だ。
雪の多い今年の立山。せっかくのチャンスなので、美女平までの滑走を試みた。上部は快適に滑れるが、途中から樹林帯のアップダウンになり、快適とは言い難い。それでも、最後200mほど車道を歩いた以外は、全て滑って降りることができた。