※BC(バックカントリー)で遊ぶには十分な装備、知識、経験が必要です。安全に注意し、レベルに合ったフィールドで楽しみましょう。
四国 吉野川支流 立川川、穴内川、貞光川 カヤッククリークボーティング
2009年8月13日

盆休み前半、突如出現して大きな被害をもたらした台風。その残り水を追いかけて四国三郎の別名を持つ大河吉野川へ、クリークボートのみをカートップして、支流狙いの2日間のカヤックトリップを行った。
(レポート:三宅、写真:三宅)
   
初日の1本目は立川川(タジカワガワ)。源を大豊町と本山町の境にある奥工石山に発し、大豊町の川口で吉野川に交わる。当日は台風の影響で増水していたにもかかわらず水質は非常に清冽である。  
適度な落差を持ったいくつもの落ち込みがテンポ良く現れ、瀞場は勾配がありムービングウォーターであるため、長いコースではあったが思いのほか短い時間で降下することが出来る。  
  コースは県道5号に沿っているため、かなりの部分を道路から見ることができる。実際、あらかじめコース中盤にログ(流木)によるストレーナーを確認しており、通過不能と判断してポーテージした。
しかし、川に入ってしまえば、見通しの効かない落ち込みが多く、クリークの常として、道路から見えないところにきつい瀬が存在することが多い。障害の存在を警戒しつつ、慎重にルートファインディングを行った。
道路からは見えなかったが、コース後半には堰堤が1つあり、無理に降下せず右岸側のスロープをポーテージした。瀬と瀞場のバランスと清冽な流れが相まって、非常に快適なクリークだ。【当日のデータ】
水量:立川1.74m(ベストは1.8mと推察される)
距離:約15km
ボート:クリーク艇
グレード:4級
所要:2時間
 
  2本目は穴内(アナナイ)川。南国市の土佐町との境に近い笹ヶ峰の辺りに源流を発し、南国市から土佐山田町を通り、大豊町の穴内で吉野川に合流する。コースは吉野川合流近くの大杉より国道32号線に沿って7kmほどさかのぼった区間である。
いくつもの大岩が絡み合う豪快な落ち込みが印象的である。見通しの効かず落差のある落ち込みでは、流れが大岩の隙間流れており、シーブやアンダーカットの危険性を孕んでおり、そのまま降下するには熟練したルートファインディング能力が問われる。しかし、こまめにスカウティングを行っていけば核心部以外は降下可能で、ポーテージも容易である。  
核心部は、この川の他の区間とは明らかに様相が異なる、落差があり大岩の密集した長さ80mほどの瀬である。  
  的確に流れを読み、的確に捉えるスキルがなければ、即座にピンニングやブローチングに繋がるテクニカルな区間である。丹念にスカウティングしルート検討を行った後、1人ずつ交互に降下することとし、残りのメンバーはスローバッグを携えてサポートにあたった。
  核心部上段は大岩がらみで見通しが悪いがセンターから入り左へ割と素直に流れる。中段は隠れ岩と右・中央・左と3つの流芯を持つまっすぐな流れである。そのまま続く下段は広い落ち口を備えているが、右側は強力なバックウォッシュのポワオーバーと岩の壁、中央は鋭角に船首のように張り出し激しく水を切る大岩が控えている。左ルートは顔をのぞかせた大岩が流れを割っていてタイトなルートになるが、降下可能と判断した。成功の鍵は中段でどの流れに乗るかである。
  上段中央から入り、中段は左側エディを取って左の流芯を掴む。このエディを取らなければ中央の流芯に乗ってしまいがちで、そのまま下段中央に行って船首岩の餌食となってしまうので注意が必要。挑戦した3人とも難なく中段左のエディをキャッチ、左の流芯に乗って降下成功。核心部は事前に橋の上から見ておいたのだが、下ってみれば実際の落差は想像以上であった。核心部を過ぎると、コース後半になり、ウエーブやホールが点在、やがて緩やかな里川の雰囲気のなかクールダウンしながらゴールとなる。大岩で見通しの効かない落ち込みに、岩の隙間を抜けてゆく複雑な流れのため、熟練したルートファインディング能力が問われる玄人好みのすばらしいクリークであった。

【当日のデータ】
水量:穴内2.18m
距離:約7km
ボート:クリーク艇
グレード:4級
所要:1.5時間
2日目は貞光川へ。西日本第二の高さを誇る剣山を源に発し、歩危峡よりもずっと下流で吉野川と出会う。パドラーには馴染みが薄いこの川も台風の残り水で川はやや増水気味、澄んでいるが白濁した水が穿ってゆく白い岩盤が非常に美しい。  
予定ではこの日は汗見川、祖谷川の降下を予定していたのだが、当日の下見の結果、サポート体制や装備の面から断念した。そこで、オプションとして用意していた貞光川に向かったのだが、実はここが最もハードなクリークであった。
スタート地点として一宇峡の名勝、土釜(左写真)を想定していたが、実際に見てみると非常に危険な様相、さらにこれに続く区間もきつい勾配と岩盤に挟まれ、取り付く場所のない激しい区間があり、この水量での降下は考えられない。
あきらめて帰途につきかけたが、3本連続の敗退では気が収まらないので貞光川渓谷の後半からコースをとることとした。
 
  しかし、下ってみると岩盤系の峡谷の流れは見た目以上に強く、コース中に大きな落ち込みと瀞場、数々のチャラ瀬があり、緩急取り混ぜていて楽しむことが出来た。今回のコースも悪くなかったが、土釜より上流の一宇峡は依然として未開拓であり、カヤックフィールドとして大いなる可能性を秘めた川である。

【当日のデータ】
プットイン:桑地橋
テイクアウト:皆瀬堰堤上約200m
水量:貞光0.90m
距離:約7km
ボート:クリーク艇
グレード:3級
所要:2時間
今回のトリップは、関西を代表するルート開拓のパイオニアと同行させてもらった。新しいルートの開拓は常に多大な労力を払って行われている。そうして紹介されたフィールドで遊ばせてもらっている私たちは、大自然に畏敬の念を抱くと同時にパイオニア達にも敬意を払いたい。クリークボーティングなどのエクストリームダウンリバーは、エキスパートパドラーが相応のリスクを負って行うもので、十分注意が必要である。